第4章 写真
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スマホからも、PCからも。
ほんとに綺麗さっぱりとりさ子さんの写真が消された。
…バックアップ取っておくべきだった。
趣味の写真だし別に、って思ってたけど。
2時間かけて写真を消し、
ふぅ、と身体を伸ばすりさ子さん。
猛烈にイラッとした。
それから、欲情した。
伸びをするためあげた腕をロープで縛り、
ワンピースを着たままヤった。
むしゃくしゃして、
勝手な行動に腹が立つのになんで欲情してんだよ、萎えろよ、
そう思いながら増していく熱に身を任せ腰を振った。
そもそも写真を消すこともだけど、
なんだよ世界一周って。
ほんとに一年で帰ってくんのかよ。
なんで明日から俺とも誰とも連絡取らないとか決めてんだよ、クソ。
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「…写真一枚だけ撮ってっつってたよな」
『…う…ん』
腕を拘束されたまま力なく横たわるりさ子さんを撮ろうと思った。
まだむしゃくしゃしてるのもあったし、
実際にすげーそそられる絵ではあった。
乱れた髪の毛、服、
とろとろに蕩けた顔、
熱を宿し潤んだ瞳
自由の利かない手。
『思い出すんじゃなくてね、空想して欲しいの。私のこと。私の一生』
「は?一生?」
『…それは言葉の綾。 そういう場合もあるじゃない』
思い出すんじゃなくて、空想する?
そんなん、こんな写真じゃダメだろ。
半ば無理やり犯した末の姿じゃ。
もっと綺麗な、もっとこの人らしい、一枚じゃないと。
割と普通にそう思って、カメラを机に置いた。