第1章 幼少期〜9
02
ご子息ともう1人。子供2人が数日前から消息不明?
「1人じゃないのかぁ」
「1人は拾い子だな。もう1人は実子だが…まあ纏めて息子だろうよ」
婆娑羅持ち故に実力はあると言う。10をこえてから任務も完璧に熟し、もう1人前だと周囲から言われてるけど丹波君から見てまだまだヒヨっ子なのだと。
周囲の突き放す様なその言葉を追い風に2人はどんどん力を付けていくけど、婆娑羅者特有の色持ちで里での空気も悪く。
丹波君としては修羅の道にだけは突き進んで欲しく無いのだそうだ。
「実子だからと表向きに気に掛ければ贔屓だと周囲からやっかまれる…こうして密かに探す事しか出来ないが、このままでは其れもままならねえ」
「居場所の目星は?」
「依頼主の所に行ったが…どうやら嵌められた」
これから依頼主に指定されてた場所に向かう所で僕を見つけたらしい。僕は助かったけど忍としてどうなんだって思わず思案してしまった。だめだめ、彼等だって人間なんだから。
決め付け良くないし、人情があった方が浪漫があるって僕はそう思う。
丹波君は懐から出した紙を僕に寄越す。いいの?と思ったけど嵌められたって言うなら契約違反か。
失礼、と言いつつ開けば墨で書かれた文は普通の依頼の文章だと思う
時刻、場所指定等、不審な点は見られない
日没に指定された場所に行け、そこで詳細を明かすって事だけど…
「三郎?依頼主?」
「織田の者らしい。素性は定かじゃないな」
「え、巻き込まれたとか?」
丹波君でも詳細が不明らしいそれは、織田の者って聞いて信長公を浮かべた。まだ家督は継いでない様子だけど。
現当主は前世の言い伝えでは人格者だと聞いた事があったような?
「婆娑羅だから」と言う言葉が出ると正常とは??って首を傾げざるを得ないけど。
今世で周辺諸国の情勢を教わった時に何か聞いたような。
「今織田は信秀公が当主かな?」
「今は家督を巡って信広が信長と対立してるな」
「あれ、信広殿は側室の子だから当主の権利は無いよね?」
色々破綻してるけど、詳しく関係を聞けば何かが引っ掛かる。推理モノかと思ったら昼ドラ的な。と言うか、信秀公が存命なのに家督争いしてるの?