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淡藤の夢

第1章 幼少期〜9



「…お前女だろ」
「…!」

もしかしてバレた?
成長期前は見分けが余りつかない事があるけど、多くの子供と接してたり情報が多い程見分ける能力も高いとは思ってる。
まさか忍の頭領に見破られたとか、しかも断言してるから否定すれば剥かれかねない?

突然の事で驚愕し、表情が思い切り出てたらしい。
顰めっ面で僕の顔を見てた丹波君は顔から手を離し、僕を抱え直すと、止めてた足を再び動かしどこかに向かって再び駆け始めた。

「子供の区別が付く忍なんて初めて聞いた」
「うちは孤児を拾う事が多くてな。どっちか判別してねえと教えられる事も限られるが…お前位の年の頃から徐々に特徴も出てくるだろうよ」

……変な男だな。何か。
僕の事なのに気分悪そうな顔をしてるし、本当に忍なのかと疑うけれど。
今まで何人もの子供を見てきたと聞こえる口調に思わず和んだ。いやぁ、実は子煩悩な忍の頭領とか。

思わずニヨニヨ~っと顔に出しちゃった。
ぶっちゃけ帰蝶と会ってから表情が出るようになったと自覚してるけど。元々の性格もあるからホッコリせざるを得ない感じで。

「…お前こそ随分年にそぐわない頭してんな?」

あ。完全に今の年齢を忘れてた。
あんまりにも面白い人だからついつい素が出てたと言うか、おのれ孔明?

もしかしたら、僕の境遇を理解出来る人なのかもしれない。
生まれる前の記憶があるって言っても信じて貰えるかもしれない。
でも僅かな希望が見えても、今後この人が関われる保証なんて無いもの。万が一信じて貰え無かったリスクを考えるとこの先は闇でしかない。

「……僕は、ただの男の真似事をさせられている子供だよ」
「……そうか」

分かってくれたのかわからないけど、それ以上は聞かれなかった。酷く安心した様な、少し寂しい様な…

「所で、丹波君は誰を探してるの?」
「君…って、まあいいか」

素直に疑問をぶつければ、呼び方に一瞬驚かれたけど僕の顔を見て諦めたらしい。
小さいけど確かに聞こえる音量で「息子だ」と言う呟きに

忍って家庭を持てるのかとか色々突っ込みたかったけど、そうかぁ息子かーって納得しといた。

この世界は婆娑羅なんだろうけど、何だか少しおかしいらしい?
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