第1章 幼少期〜9
「悪いな、俺は伊賀の百地三太夫。探し物があってな」
百地三太夫…またの名を百地丹波。
後世では伊賀の頭領として有名だけど…伊賀は甲賀と違って傭兵として各地で暗躍しているのだと、この世界で勉学を教えてくれた人に聞いた事がある。
と言うか誘拐じゃないかー!手伝えってこんなガキに何をさせるんだとじたばたしてたら。平静を保ってた百地丹波の顔に疲れの色が浮かんで来て、ぴたっとその場で停止したから勢いが…一瞬ぐえってなったから。
「あー…何と言うか。子供を探してる。お前と同じ位のガキンチョだな」
「えぇぇ…言うんだ」
「理由を言わないとお前さんは暴れるのを止めないだろう?」
聞いたからって大人しくするとは僕は一言も言ってないけど??
でも何か様子から見て、暗殺する為に探してるとかではないし。この人根はいい人なのかなと思ったけど忍なんだよなぁ
じっと顔を見つめる僕に気付いた彼は、一瞬だけハッとした様な顔に…
「お前…?」
「ふぎゃっ?!」
ちょ、空いてる片手で人の顔を掴むんじゃない。頬っぺただけど凄く驚くから!間抜けな声も出たし恥ずかしいな!?
まじまじと僕の顔を見つめる百地…丹波君で良いや。
何か顔に着いてたのかとぽかんと見つめ返してたら衝撃な言葉に心臓が凍り付く気がした。