第1章 幼少期〜9
01
暗闇から姿を見せた男は、僕を見るなり何かを思案する様な顔で首を傾げる。
長くて綺麗な白い髪だなと呆然と思った。年齢は父と同じ位だろうか?パッと見20代から30代前半だよなぁ…
その前に原作でこんなキャラ見た事無いんだけど…何者なんだろうか?
表面で平常を装ってるけど内心大パニック。我ながら面の皮が厚くなったと思うけど、死亡フラグが乱立してる今どうすればいいのか…反撃出来る体勢だけど!忍相手にした事無いし!!
「お前どこの者だ?迷子にしか見えねえが」
「迷子で合ってるよ。忍相手に隠しても仕方ないから言うけど…」
斎藤家に仕える竹中の者だと名乗れば、美丈夫な顔の片眉がピクリと上がって少し焦る。
思わず肩が跳ねたけど、彼は片手を上げて何でもないと言う風に制してくれた。
「悪い、驚かせたな。お前が竹中の所の神童ってやつか」
「知ってるの…?」
何だこの人。僕の事を知ってるのかと問えば、忍の間でも結構名が知られていると言われて思わず青ざめたもの…
これあれか!!暗殺フラグ待った無しじゃん!変に有名になったら狙われるやつ!!
ぬおお…と頭を抱えて苦悩していると。急な浮遊感に思い切り顔を上げればさっきの美丈夫が至近距離になって尚更驚いた。ひたすら顔がいいとしか感想が出なくて。
「ちょ、何を」
「安心しろ。殺しはしねぇよ…悪いが手伝って貰うぞ?」
「はあ?!」
言いながら僕を小脇に抱え、凄い速さで駆け始めた男。忍だ凄いって頭の片隅で思ったけどまずこの男が何者なのか分かんないし。
でも殺す気だったりしたら既に殺されてるから何とも言えない。
目を白黒させながら頭の中でぐるぐると考えていれば、パニクってる僕の顔に気付いた男は、申し訳無さそうにくしゃりと笑みを浮かべた