第3章 幼少期20〜
───────竹中半兵衛様
この身が起き上がれるうちにと思い、勝手ながら遺書を…直接言わず書き綴り逝く事をお許し下さい。
私が生きているうちに叶わぬであろう願いを
草の私達が貴女の様な尊き方に願うなど身の程知らずと言っても過言ではないのですが…
そんな事を言えば貴女は烈火の如くお怒りになるでしょうね。
貴女はこの世の者ではないと、己を卑下してしまうのでしょう。
自らが手を出す事で、貴女の知る世から変わる事を恐れているのでしょう。
ですが、私は貴女にこの言葉と願いを遺して逝きます。
貴女が私達草を同身分として扱う事と同じものだと思っても。呪いだと思って下さっても構いません。
生きて下さい
己の思うままに動いて下さい
貴女は今は私達と同じ世の人間です。
草でも忍でも武家でも、貴女は等しいと仰る通りで貴女もこの世の民で御座います。
ですから、どうか
私の様に後悔の無いよう生き、幸せを感じても良いのです。けして悪い事ではありません。
貴女が望む事は、長に続き黒羽や雹牙
貴女の知る人を悲しませない事なのでしょう?
最後に私の悔いを継がせる事と、貴女に「呪い」を残して行く非礼をお許し下さい。
篠山理兵衛───────
理兵衛殿からの文には保護して欲しい人物の詳細や、僕の悩みを露払いし、道を示すかのような言葉が綴られていた。