第3章 幼少期20〜
「ありがとうございます。義父を最期まで看取って下さって」
「黒羽…」
「ご存知でしょう?本来忍は昨夜の様に看取られる事は無いと。
死に際は他者に委ね、時に自害し、戦場で死に…草としての生を終わらせます」
最期まで人として扱われたから嬉しいだろうと微笑む黒羽に、彼等は、僕だけは彼等を道具として使う事はしたくないと正面に座る黒羽の頭を抱える。
「君たちはもう僕の家族でもあるんだから…」
「……そうですね。貴女は優しい」
未だ心から自分を道具だと言い放つ彼等に何が出来るだろうか?こんな時代だからこそ、僕だけでも何かを変える切っ掛けになりたい。
自分の手が届く範囲で出来るだけ。何かある筈だから。
悶々と考えに耽っていれば勢い良く開けられた襖の先に身体を動かして来た様子の信之君
「半兵衛!目が覚め……」
「あっ、信之君」
「何をしている……??」
表情が急に固まったと思えば黒羽抱き締めたままだぁぁ!!
これ信之君だか朝から何やってんだお前状態だけど弟くんだったら叫んでどっか飛んでくよね?!
黒羽も抱えられた状態で肩が震えて…笑ってる!?雹牙も顔を背けない!笑うならいっそ盛大に笑ってお願い。
なんかもうグッダグダだから丹波君が帰って来るまで掃除しよう掃除!!