第2章 幼少期10〜19
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風前の灯火…とはこの事を言うのだろうか?
日に日に衰弱していく理兵衛殿の為に何か出来るかと言えば美味しいものを食べて貰ったり、不安な事とか話を聞いてあげる事しか出来ない
変にお節介焼いても本人の負担になるからね…治療法も無く何も出来ないなら尚更。
そっと静かに穏やかに最期の時を迎えるだけなのに、理兵衛殿は凄く幸せそうに笑うんだよねえ
「普通、忍の最期なんてろくな物じゃありませんから」
「ああー……」
そうだった。この時代はそうでした。
最近戦国に似つかわしく無い生活を続けてたからうっかり感覚が麻痺してたけどこの時代の普通はマトモでは無い!!
そりゃ人生の殆ど過酷な忍生活を送ってたら今の暮らしは平和過ぎるんだろう。
料理を作るのが楽しいのと理兵衛殿が嬉しそうに食べるから浮かれてた自覚はある。
自分の間抜けさに衝撃を受けてその場でorzってたら理兵衛殿に心配されたけど大丈夫直ぐ復活するから
「おや、何者かがこの辺りに迷い込んだ様ですよ」
「え…」
何で分かるの?と思ったけど屋敷の上空で連絡用の鳥が鳴きながら旋回してた。気付かなかったのは自分の方だったか!
いい加減勘を取り戻さないと駄目だなぁと、軽くため息を吐き武器を手に
行ってくるねと一声掛けて指示のあった場所に向かった。
黒羽達居るはずなんだけど、急な任務とかで丁度不在なんだろうか。
変な違和感を抱きつつ歩を進めれば付近の茂みがガサガサ
「おんやぁ、此処には伊賀の者しか居ないって聞いたんだがな」
「え……だれ…」
凄く個性的な格好だけど僕の記憶には存在しない男性?こう言った姿は大抵婆娑羅者の武将だったりするから結構侮れない。
探るような視線に若干後ずさりをすれば、その顔が朗らかな笑顔を作るけど胡散臭さが一向に抜けない…軍師…なのかな。