第2章 幼少期10〜19
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「何しに来たんですか帰りなさい」
「開口一番にそれ?酷くない?」
「それで用は?」
「俺の主張は無視!?相変わらずだねほんと…」
理兵衛殿って身内以外には厳しい?意外な反応が見れる大人2人のやり取りを「家政婦は見た!」な姿勢で様子見しつつお茶を淹れ差し出せば、戸惑うこと無く湯呑みを受け取ってくれる姿は忍なんだろうかと本気で思う。
何だか複雑に思ってたら顔に出てたらしい、伊助殿が僕の顔を見て苦笑い。いやあ、雰囲気似てるけど多分本人よりおおらかと言うか、気さくなんだろうな。
「伊助殿って…ほんとに甲賀の忍?」
「ああ、そうか。伊賀と甲賀の仲は知っているんだねえお嬢は」
「最近僕の認識と色々違う事が多くて流石に慣れたけどね」
良い機会だから実際のところどうなの?と問うて見たけど伊助殿は言っていいのか迷ってる様子。
理兵衛殿の顔を見て伺ってるみたいだけどガン無視だね。意外な一面過ぎてお盆を持ったまま呆気に取られたけど済ました顔で口布を外し、お茶を啜る理兵衛殿に注目する。
「幼い頃の腐れ縁です。何かと任務で鉢合わせしましてね、その度に争って被害が出るのも癪なので裏で手を組んでいるんですよ」
「表立ってないんだ…」
「伊賀は基本はr傭兵、甲賀は生涯仕える武家があると言う風に体制が違います。思想が違うと衝突も避けられないのですよ。
伊助の場合は息子が婆娑羅者だと言いますし、情けなくも雹牙の面倒を見る私共に助力を求めて来た情けない男です」
「ねえ理兵衛殿、俺の扱い酷くない?」
「あれ、黒羽って」
「あの子は養子なので当時はまだ」
衝突回避で調整してるの?何だかいい意味で結託していると言うか…戦国時代って腹の探り合いで殺伐としているイメージがあったけど何処も被害は最小限に抑えたいんだねえ。
ある意味良い例で手を組む組織だけど、部下は知ってるんだろうか?知られたら…まあ丹波君なら反感あっても笑顔でねじ伏せそう。
それか文句あるなら抜けろと言い捨てるか。
抜け忍は死罪だものね…死ぬまで里の者や丹波君に追われるくらいなら従うんだろう。
大人気ない大人2人のやり取りを眺めながらつらつらと考えててふと思った。伊助殿のご子息本人は連れて来てないのかな?