第2章 幼少期10〜19
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竹中重元は酷く困惑していた。
美濃の藩主である道三を後ろ盾に、織田との戦を開戦したものの理解し難い現状にこんな筈ではと恐怖に震える。
「何だ…?この不気味な水の色は」
本陣の近くに流れていた小川の色が見た事の無い藤色の様な水に変わっている。
飲水として確保していた川も全て、上流から毒を流されたのだと判断し兵に飲むなと命じたが
夜半に差し掛かると人魂が飛び交うのを見てしまった。
婆娑羅者の炎かと思うも見た事の無い様々な色故に兵の士気も下がり、連れてきた重鎮も不気味さに弱音を吐く始末。
奇妙な光景に逃げ出したい気を紛らわす様に首を横に振る。
「あの子供を何としてでもこの手で始末せねば」
でなくば竹中の未来は無い。恐らく道三殿は既に己を見放しているのか…此度の出陣には来られる事はなかった。
ここで成果をあげねば…
夜がふける。
奇襲を掛けるには月の無い夜が最適な筈…己の身の為にも…
「───────怪現象でビビりまくってる上に、背後にある陣幕が普段見ない色で燃え上がれば人は恐怖の余り気絶するんだなあって。知っては居たけど見るのは初めてだったねえ」
「……」
忍の2人に頭抱えられてしまった。
仕組みを知らなければ自分たちも不気味だと思うから内心同情しちゃったやつ。
ムードって大事だよねぇ…未来でもお化け屋敷で失神する人がいるのも頷ける。目が覚めたとこで僕が現れ全て僕の仕業だと言えば更に化物を見るような目をされたけど、何かに触れたのか雹牙達が切れて抹殺しそうになったのは驚きましたとも。
2人を羽交い締めにして止めてるところに、信長公が道三殿と帰蝶を連れて現れまるで蛙が潰れた様なエグい声出してしまったのは当たり前なんだが…