第2章 幼少期10〜19
器が朱く漆塗りの金箔の模様付き、豪華過ぎて手が出せないでいるんだけど逆に「どんだけ高価な品物なの!?」と言う意味で怖い。
だって、伊賀の大人たちと真逆だよ?!いや、伊賀からの贈り物も大概だったけど。
見た目普通なのに中身豪華過ぎて狼狽えたもの。
信長公は更に上を行っている気がしてなりません。そんなに高価な代物は要らないって言ったのに!
必死な僕の訴えに黒羽達は諦めろと言い放ってきましたとも。
「まあ…早く開けろや」
「雑…!?雹牙もう言い方雑!」
ただでさえ丹波君から武器を、理兵衛殿から初陣の戦装束を頂いたのにこれ以上高価な物の何を貰えと?!
ツッコミが追い付かないなと内心思いつつ、言いたい事を言えばとんでもない爆弾まで投下されるし。
「早に開けよ、市と共に吟味した品であるわ」
「市姫も!?更に逃げ場が無くなった…!!」
ええい、ここは腹を括って開けるしかないのか!
半ばヤケになって豪華過ぎる箱を開ければ…ん?
「着物?…まだ他に入ってる?」
何だか普段着れそうな袴とか、派手では無いかな?藤色の割と好みな…?
はっ!?これ完璧に僕用に作ったやつか。
そして帯の柄も地味に綺麗だな、なんと言うか…一式が全部旅仕様?
「これ」
「うぬは家との話が終われば出るのであろう」