第2章 幼少期10〜19
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元服の儀と言っても髷を結わないこの世界。髪を切る事は無いけど諱は付けられて…しかも諱で呼び合ってるよ異世界ってすごい。
そして僕は無事に幼名の重虎から半兵衛へと名を変えたのだけど、元服の祝いにと持ち込まれたのが色々と凄い。今のとこ僕の知り合いでそう言うのくれる大人は伊賀と信長公しか居ないけどね!!
あと意外や意外なとこで斎藤家。何とも複雑だけど一緒に入ってた文の字を見て納得した。これ帰蝶だ…!
「帰蝶元気そうで良かった」
「文には何と?」
「心配したって言うお説教ばっかりだけど彼女らしいよねえ」
結局元服出来た事についておめでとうと綴られた文は大事に大事に仕舞っておこう。自分でもによによしてる自覚はあるんで友情は良いよねぇ…
また帰蝶に会いたいなあと思っていれば、頭上から伸びてきた手が手に持っていた文を摘み上げた。
こ、この…堂々たる失礼な行動は…!
「信長公ぉ…?」
「……」
いや、何じっと帰蝶の書いた手紙読んでるの。てっきり道三殿から宣戦布告だと思ったのかな?
誤解が無いように、帰蝶はあの家でとても心強い味方だったんだよとあわあわと説明すれば唸る様に返されたけどそれは返事で良いんだろうか?
ただ唸っただけ?付き合いが短いから意図がわからないよ本当。
しかし黙ったまま、内容を確認した後は手元に戻って来たんでよかったけど…徐に口を開いた信長公から「理兵衛の事は聞いたか?」と問われたので無言で頷く。
「…僕の時代でも治療法が確立されたのが最近だったから」
「そうか」
こう言う話になると無力だなあ、としみじみ思い痛感する。もう少し医学の事も勉強出来ただろうに、未来?過去…の自分も病で倒れたと言うのに。
僕の病気は所謂、ドナーの提供者からの血や臓器があっても合致しないと治らないものだった。
未来でも待ってる間に命を落とす話も多々あるけど、待ってる間はずっと好きな事をやってたクチなので一般より雑学が多いだけ。
まあ…医学書片手に待つ病人は居ないに等しい程少ないかもね。
考え込んでいればポンポンと頭に響く手の感覚に思わず苦笑いが零れてしまう。全く調子の狂う第六天魔王様だこと。
「そう言えば信長公、君からの贈り物どうなってるの…?」
「む?」