第2章 幼少期10〜19
用意していた酢を、紫色の汁が入った鍋に適量を入れれば赤くなったので何とか実験は成功?薄い気もするけど、流石にワインみたいな濃い色は無理。
「それをどうするんだ?」
「まだ少し悩んでるんだけど…」
上流から流し、川に流れてるのを見て血の色として勘違いしてくれないかなと…
原液を濃くすれば多少の水分が混ざっても赤だと認識するだろうし。
あとどのくらいの量を煮込めばいいのやら。船で運ぶ関係で時間が経ってるせいか結構傷んでたりするし
「おい、すり潰したぞ」
「ありがとう。これは別の場所でアルコ…酒と混ぜるから隅に置いておいて」
「何故、鉛や銅を外とは言え厨で?」
「盗まれたら面倒だし」
粉がご飯に入らないように一応気をつけて、出入口より外でやって貰ってるから大丈夫!と今は言い張っとく。今の僕は周囲に味方が多いとは言いきれないから用心に越したことはないし
花火に色を着ける事の応用で身近なものを用いたので試しに皆の前で点火したら驚かれたよねえ…
流石に火薬ではない。場が吹き飛んじゃう。
大人たちの分と、お膳を信長公の部屋に運べばケホッと理兵衛殿が噎せてて…咳?
「理兵衛殿、風邪?」
「…いえ、少々喉を痛めまして」
「痛めただけなら良いけど」
お茶を差し出しながら体調を伺えば大丈夫だと笑顔で頭を撫でてくる。いつも通り、完璧なお子様扱いに苦笑いをしつつ今日の献立を言えば理兵衛殿は嬉しそうに顔を綻ばせた。
あれ、信長公の自室なのに部屋の主が居ない。
どこか行ったの?と聞けばすぐ来るってによによしてる丹波君。
トタタタっと小さな足音が聞こえたと思った瞬間背中に衝撃が走り「ぐえっ」と何とも言えない声を発しながら転がってしまった。
背後から、市姫が抱きついて来たんだけどね…!!