第2章 幼少期10〜19
やっぱり。
今の織田はまだ大きく無く、脅威だと周辺諸国は思ってないだろう。齋藤家が周囲の国に呼び掛けて軍を率いるかもと考えるだけで胃が痛い。
……やはり出ていくしか無いのだろうかと思った。けど、フンと鼻で笑う音に驚いて顔を上げれば、信長公が凄く邪悪な顔で笑っていらっしゃる!?
「重虎、貴様を元服させる。そしてうぬの実力をもって排除させてやる」
「何て?」
予想外の宣言に思わず聞き返したけど、信長公の顔が凄く楽しそうだ…!!国を危険に晒してまで僕を庇う必要は無いと言っても聞く耳を持たない。
嬉しいけど!嬉しいんだけどさ!
「知っていますか?重虎殿。貴女の助言を受け立てた政策が国に莫大な利益を齎していると」
「こう考えたらどうだ?国の金になる者を易々と手放す気にはならんってな」
「って事で多大な恩がある伊賀も協力しよう」と陽気に信長公に言い放つ丹波君達に、また無性に泣きたくなったけどグッと堪える。
口を真一文字にして堪えていれば高笑いした信長公にわしゃわしゃと頭を撫でられましたよ!!
「──────信秀は余が斬った」
「……え」
信秀…って確かお父上だよね?織田の基盤を築いた?この世界ではどう言う人物なのかわからないけど、ずっと病床に着いてると思ってた人はもう死んでいると告白されて驚きを隠せない。
理由は…?と小さく零してしまったけど何も咎めることは無く、静かに明かされる事実に目を見開く
「妹に強力な婆娑羅が宿っていると気付いた信秀は、市を幽閉した後に抹殺を企てていた…」
あ。そうか。
丹波君がそれを知って本当に良いのかと信長公に問いたのか。彼等は友人同士で、丹波君は子供が何もしてないのに殺される状況を良しとしないだろうし。
放って置いても別の事柄で生きていたかも知れない市姫への、妹を大切にする良心を引き出したのは丹波君だろう。
結果。盛大に原作ブレイカーな信長公が誕生してるので嬉しいけど若干複雑。
頼み事があって来たけど先ずは自分の実家の落とし前を着けなきゃいけないと言葉を飲み込み考えに移る。
「何か、出来る事はないかな…」
何故か丹波君の膝に座った状態だけど、僕が小さいからでしょう…多分。
丹波君の身長がデカすぎると思うんですけど、この世界では皆大きいからねえ…
脱線したから戻そう。