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淡藤の夢

第1章 幼少期〜9



「市が世話になったわァ」
「……えと、僕が攫ったとか疑わないの…ですか?」

今の僕よりずっと上だけどお若いだろう信長公に礼を言われて驚いた。え、信長公……?だよね?あの魔王様だよね?
市姫が自分の婆娑羅で消えちゃうのを目の前で見てしまったらしい彼は、城下や近場を探してたらしく。いよいよ捜索範囲を広げたり忍も増員しようとした矢先に僕が連れて来てたのだそうで…
なんつータイミングの良さ。
実は結構離れた距離にある森の中で発見しましたと正直に答えれば、うむっと唸られたけど全然感情が読めません。
しばしの沈黙のあと、僕にくっついてた市姫は膝に乗ったりとベッタリだったんだけど。退屈したのか僕の顔をじっと見て、そして兄である信長公を交互に見ている。

「にーさま」
「ぬ」
「あそぶ、の」
「……ん?」

僕と遊ぶの?服引っ張ってぎゅうぎゅうと抱き着きながら主張してるけど、思った以上にきっちり意志を言葉にしてるから実は3つか4つだった?
でも僕はそろそろ宿探しとか、折角城下に来たから路銀稼ぎとか対策したいんだけどなぁ…
ごめんね、と言いつつ市姫を剥がそうと声を掛け様としたら。信長公が頷いて、少し驚いて肩が跳ねた。

「小僧、何処かの家臣か?」
「いや、僕はまだどこにも…」

元服もしてない11歳目前の小娘ですよ…?
そうか、この年代の子供は女の方が先に成長期に入るから男児よりは身長高い子が多い。故に年嵩が高く見える様で
前世でも小学4〜5年とかから女の子の方が身長大きかったりするからねぇ…
そこら辺はこの世界も一緒なのか……

「妹の世話役に成るが良い」
「はい?!」

就職…じゃなく仕官しろって事?
僕もしかして元服した年代に見られてて、でも子供だから妹の世話を…
んん?女中とか侍女とか乳母は?男だと思われてるなら余計に姫と言う立場に男を近付けちゃいけないんだと思うけど?!
もう疑問があれこれ交差しまくって脳内大パニックです!!
自分でも自覚するくらい目に見えて狼狽えてたら、急に頭上から噴き出す様な声にビシリと全身が固まった。
こ…この声は……!!!
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