第1章 幼少期〜9
「…ふ……っ!」
何か、こんなに泣いたの伊賀の時以来だ…
落ち着きつつある涙を拭い、もう一度顔を洗ってから気合いを入れる様に両手で頬を叩く。
「……よし」
まず川沿いを行けば村や、城下が近くにある筈だ。生活に必要な水、小さい川でも人はその近くに住むものだから。
大丈夫。大丈夫。
何度も心で自分を励ましながら、川沿いを下って歩を進める事にした。
───────?
「今…泣き声?」
小さな村を見つけ、村の人に近くに城下町は無いかと問えば僕の身の方が心配されてしまった。
いや、うん。子供1人で旅してる風貌だものね…こに来る前に野盗とエンカウントしたけど撃退したから大丈夫。逆に有り金を剥ぎ取って木に縛り付けて置いたんで。
冬なのだからと笠と蓑を頂いてしまったけど…返さなくて良いって言われたけど…いつかお礼に来よう。絶対。
目標が出来れば生きる気力も保てるよねと出立して数刻。
そろそろ城下町が見えてもおかしく無いかなと思った所で、小さな声が聞こえて立ち止まった。
え?か細いけど子供だよね?しかも赤ん坊?
妖怪とかホラーなものの罠じゃないよねと心臓をバクバクさせながら声のする方向に駆ければ…
何か禍々しい黒い物体に包まれてる小さな子供が泣きじゃくっている。
何この恐怖現場!?