第1章 幼少期〜9
「なんだ。俺達が居て不味い事があるのか?」
「無いけど!……里に居なくて大丈夫なの?」
「問題ありませんよ。私達は丹波様の命で此方に来てますし」
「俺達は里の他の者に疎まれているからな。居ない方が丹波も理兵衛殿も安心するだろう」
婆娑羅持ちと言う事と、頭領である丹波君の子である雹牙と、片腕である理兵衛殿の養子として迎えられた黒羽。妬みやら何やら色々と複雑で普段から里に寄り付かないらしい。
ちょいちょい来てくれるお陰で牽制となっているのか、父からの小言は聞かなくなったなあ。
母はもう異様な目で僕を見るから化け物だとか、恐ろしいモノを産んでしまったみたいな…
父…夫のご機嫌取りの方に行ってるんで、愈々僕を始末する算段でも立てているのかもしれない。
その証拠に…齋藤家で雇われてた伊賀忍が確実に減っている。
父が道三殿に何か入れ知恵した可能性が非常に高い。
「あと3年くらいかな、元服はしたいし」
「暢気ね」
「粘りに粘ってだけど、いざとなったらそのまま出て行くさ」
問題はその後だよなあと…安易に描かれた勢力図を眺め。昨今の各地の大名達の情勢を聞きつつお茶を啜った。
───────事が起こったのはそれから1年にも満たない冬の季節だった。