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淡藤の夢

第1章 幼少期〜9


06

失踪から約四日後に帰ってきて。
てっきり父に座敷牢とかに幽閉されるか、怒鳴られたりまた不毛な嫌味を延々と聞かされるのかと思ってたけど。
丹波君の言葉が効いてるのか、屋敷内で鉢合わせしても憎たらしいと言わんばかりの表情で睨まれるだけで済んでいた。

と言うか、帰って来てから道三殿に顔を出しに行った瞬間。帰蝶からの凄まじいタックルを食らった挙句に心配したと泣かれたのが一番辛かった。
しかも凄い勢いで帰蝶の部屋に引っ張られ、僕の身体をペタペタと触って「何もされてないわね?!」と確認された時の真意に驚いた。帰蝶、僕が女だって気付いてたんだ…

しかも知った後も素知らぬ顔で男として接してくれてた事実に酷く申し訳無く思ってしまった。

「久作が元服する前に貴女は自由になるべきよ。男として振る舞っている事がおかしいんだもの」
「そう言えば…丹波様が半兵衛様が出奔した後、仕官した地で私達を仕えさせてはと仰ってたのですが」
「それは良いわね。お願いしようかしら」
「…………何で黒羽と雹牙が居るのかな?」

帰蝶はいいよ、性別がバレてたと知った時点でもう心許せる仲になってたし。同性で1番の友人になってくれて、それだけで凄く救われたのに。
伊賀に居る筈の黒羽と雹牙がちょいちょい此方に来て当たり前の様に茶を啜ってる状況を説明して欲しい。

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