第1章 幼少期〜9
「私は理兵衛殿の養子なので立場は低いですが、雹牙は丹波様の実子ですし、竹中や蝮が何かしでかそうものなら私と雹牙が動けば最悪の事態は防げるのではないでしょうか?」
「おい黒羽」
「雹牙も、手当ての恩は返したいでしょう?」
「ま、まって?次々と話進めてるけど、どう考えてもとてつもない提案だよね?!」
10歳の子供になんつー強力な保険かけてるんだろう!?確かに凄い心強いけど忍の里が背後に潜む子供なんて早々居ないんですけど?!
落ち着いてと黒羽の両肩に手を乗せればいい笑顔で「受けた恩は返さないと」と言い放った。
これは意思が硬すぎる……!
冷や汗だらっだらな僕の様子に丹波君なんかケラケラ笑ってるし。理兵衛殿も諦めなさいって顔をしてるのでその場で項垂れる。
「まあ、お前の将来が楽しみだと言うのが本音だ。大物になったら伊賀を贔屓にしてくれよ?」
「何その悪徳商法。うう、まだ出奔先だって目処がついてないのに……」
投資だって言ってる様なものじゃないかと若干不安を抱えつつ、その後竹中の屋敷まで送って貰ったけど。
僕の背後に伊賀の頭領とプラスで3人も着いてる状態なので父の顔は引き攣り
普段なら罵声を浴びせるだろう怒りに満ちた顔をしながらぷるぷると、必死に抑えていた状態は良い気分だったもので。
性格が悪い自覚はあるのでモーマンタイ。