第1章 幼少期〜9
ひとつ引っこ抜いて見れば小さく、実っていない状態で。ああ、これ…前世の親戚が農家だったから知ってはいるけどこの時代にそぐわない対処法じゃないだろうか?
……でもイレギュラーである僕や、恐らくこの人達もこの世界に生まれたイレギュラーの様な立場だと思う。
平行世界とは言え複製だとしても同じ人間も完璧にコピーしていないだろうから、好き勝手やっても良いんじゃないかと。
…彼らに出会ってから思い始めている。
僕だって結核で若くして死ぬのは御免だし。
こうなったらフラグとか色々な物を片っ端から折りまくっても良いのかもしれない。
「連鎖障害と言う状態なんだ。同じ作物をここに植え続けていなかったかい?」
「連鎖障害…?」
「僕もこうなってからの対処法は詳しくないけど、出来る限りの事はやってみようか」
僕の居た時代は如何に連鎖障害を起こさない様どうすべきか、が重点となっていたから。実際に起きている状態から改善させるとなると素人当然の知識持ちの僕では限界がある。
複数ある方法を試して貰う事になると言えば、安心した様な顔の丹波君。何だか信用されてるって事で良いのかな?
取り敢えず輪作の事と、堆肥の使用。最悪土を入れ替える事は出来るんだろうか?
思いつく限りの対処法を墨で…巻物を渡されたので書き残しておく。
紙すごく貴重なのに良いのかな……
畑の指導は理兵衛殿が伊賀忍に指導して手入れをさせていくらしい。他の畑では輪作やら予防すると言う事で動く様になったけど。
「どうして僕の言うことを信じてくれるの?」
妖だって言われて、殺されても仕方の無い知識だったりするのに。この時代なら尚更。
小屋に戻り、今度は理兵衛殿も混ざって5人で話をしているんだけど。
「そうだな…、その前にお前の事を教えて貰おう。洗いざらいな」
「うっ…」
…………そう言えば約束してたね!!