第1章 幼少期〜9
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どうも。現在伊賀の里で保護してもらっている竹中の嫡男(仮)の竹中重虎です。
気分転換と言うか家が息苦し過ぎて馬に乗って飛び出したものの見事に迷子になり、なんと通りすがりの伊賀の頭領殿に拾われご子息を救助する手伝いをする事に。
出入口を爆破されたのに生身の人間とは思えない「忍者って凄いね☆」と言う現実逃避地味た感想しか浮かばない力技での脱出劇は記憶の隅に封印しておきます。
さて、家に戻らずかれこれ3日。伊賀に世話になっているんだけど正直…今家は大混乱だろうなあと若干遠い目をしてみる。
性別を偽ってる嫡男が消えたんだものね。まだ弟も元服してないのに予想外の出来事にも程がある。
むしろ帰ってからの方が色々と怖いんだけど取り敢えず今は目の前の事に集中。
里の、丹波君の家だろうか…?こじんまりとした家屋で僕と同じくらいの年齢の少年2人が布団に横になっている。
丹波君の息子、雹牙君と。理兵衛殿が養子として引き取っている黒羽君。
あの日からずっと僕が看ているのだけど眠ったままで少し不安になりながら、井戸水から汲んできた水で冷やした手拭いを額に乗せる。
「よう、様子はどうだ?」
「丹波君」
裏切った報復みたいな、元雇い主に制裁とかあるんだろうか?ひょっこり顔を出した丹波君も理兵衛殿も食事の時以外はほぼ不在。
忙しそうにしてるので忍ならではの任務があるのだろう。まあ心配だから顔を見せに来てるんだろうけど。
2人とも確かに弱ってたけど、婆娑羅者故か回復速度が早い傾向があるのにまだ起きないんだよねえ。熱は下がりつつあるから一先ず峠は乗り越えたかなと言えば丹波君はそうか。と深く息を吐いた。
「忙しそうだね」
「ああ、色々やってる合間にお前の家にも行ってきた」
「はぁ!?」
「じゃないとお前、急に行方をくらませたんだ。大騒ぎだったぞ?」
「そうだけど…!」
あの偏屈な父に接触してきたとサラッと言う丹波君に詰め寄れば、わしわしと頭を撫でられたけど今そんな場合じゃなくて!!