第1章 幼少期〜9
「成程な、ここで俺と理兵衛。息子達諸共埋めりゃ後は伊賀を掃除するだけだものな…通りで金の掛かる鉄を仕込む訳だ」
「感心してる場合じゃありませんよ?長」
「わーってる」
なるだけ息を潜めて動く様にと言われて、頷いてから格子と鍵を調べるけど丹波君が面白そうに見てるから「視線が邪魔」と一言言えば目を逸らしてくれた。何でそんな寂しそうにするんだろうね?
「何か策はあるのか?」
「鉄になってるだけで木製と構造は変わってないと思うんだけど…」
道山殿が紹介してくれた先生から、座学で木製の鍵を見せて貰った事はあるんだけど。まさかそこで素手や道具を使ってこじ開ける方法なんて教わるとは。
と言っても暗いしそんな都合の良い工具は無いけど…
細い針みたいなのある?と聞けば理兵衛殿から忍の武器、千本を渡されてしまった。
「毒は着いてないやつですから」って台詞がちょっと怖い。
「それだけで開くのか?」
「この前、婆娑羅の訓練してる時に気が付いた能力があって」
何だろう…闇ならでわなのか物を腐食させたんだよ。ドロっと溶けるような、
毒の一種の様な性質になったから鉄でも硫酸並に溶けるんじゃないかなと思い、千本を穴に入れて少し溶かしつつ内部の1部をずらせば鍵が外れて地に落ちた。