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淡藤の夢

第1章 幼少期〜9


ええん。丹波君に降ろす様に言って貰う気だったのに「諦めろ」と言わんばかりにスルーされた。
何だこの子供に優しい時代錯誤な忍は!?実は転生者だとかトリップして来たって言われても納得しちゃうぞう。

理兵衛殿が地面で重なってる落ち葉を払うと出てきたモノに少し驚いた。えええ、ここってもしかして。


「洞窟…地下空洞?」
「この先の屋敷の地下に続いてる。まあ地下は察しの通りか?前々から噂程度に聞いてたんだがなぁ」

洞窟の中に牢を設置するのはよくある事なの?
地下水が貯まっていれば水責めだとか拷問に用いられる事も多く。幽閉したり、兎に角世に出さぬ事に使うのだと。

普通に怖い…。僕の今の生活はまだマシな環境なのかとも思った。
だって、下手したらそんな中で幽閉されててもおかしくないもの。期待外れの女だから…婆娑羅持ちだから外で生きられてるものなのに。

無意識に丹波君の装束を握ってた手に力が入ってたらしい。ポンポンと軽く頭を撫でられつつ3人で洞窟の入口に入って行く。

「てっきり大勢で待ち構えてると思ったんだが」
「多少気配はありますが…」
「アイツらを始末した後かもな」
「ちょ…」

そんな、息子さん殺されてる可能性があるって事?まだ僕と同じ位の年齢なんでしょ?!
丹波君今度こそ離して~~~!!と小声で言いながらモダモダと暴れれば、流石に地面に降ろしてくれたよ。はあ、何か抱っこされるの慣れてないからぶっちゃけ居心地良かったけど今は別。

洞窟を歩いていれば少し大きな空間に出たらしい、空洞内を見渡しながら奥に進めば僅かに動く気配に気が付いた。
丹波君と理兵衛殿の顔を見れば少し意外そうな顔をしてたけど、危険は無いと見て走って近付けば牢の様な格子と鉄の臭い。
夜目に大分慣れてきてたみたいで中でぐったりと倒れている少年が2人確認できた。

「息はあるよ、丹波君こじ開けれる?」
「ご丁寧に鍵と格子が鉄だな。俺達は婆娑羅者じゃねえから…」
「長!!」

理兵衛殿の叫びと共に響く轟音。僕達が来た方向と別の方向の2箇所で聞こえた爆発音に入口を爆破されたのだと理解した。
そうか、敵の気配が気薄だったのは閉じ込める為に…!
この時代、生き埋めなんてどうやって対処したら良いんだろうか。頭の中で必死に考えながら鉄の鍵を手に取る。
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