第1章 幼少期〜9
03
伊賀を売った者が居たのだと簡潔に呟いた丹波君の言葉に思わずきょとり。それ僕に言っていいの?こてりと首を傾げて無言で問えば、困った様に笑われた。
「随分懐かれましたね」
「まあな…重虎。お前婆娑羅は使いこなせるか?」
「僕の?」
訓練相手が居ないので全部自己流だけど、制御は血反吐を吐く思いでやった。てか周囲に婆娑羅者が居なかったし闇属性が暴走したらシャレにならないからねぇ…
こくこくと頷いてから、とりあえず基本は出来ると答えると偉いって撫でてくれたけど…
忍らしくない人だと本当に思う。この人転生者?と疑問を持って横文字ワード言ってみたけど
逆にきょとりとされたから全然わからないんだなって。
そう言えば丹波君に命じられてご子息の居場所を探ってたらしいもうひと方は?
丹波君とは対象的な茶髪で短髪。婆娑羅者では無いけど丹波君と同じく色素が少し薄い。少しだけ異質な空気を纏っているおじ…いや、お兄さんかな。ギリギリ20代。
心の中ででもアラサーをおじおば発言したら漏れなく僕もダメージ受けるから、自分の今の年齢と比較しちゃいけなかったね!
じっと、彼を見てたのに気づいたか僕の目を見て微笑んでくれた。この世界の忍って子供に優しい?いや、一部限定なんだろうけど余りにもイメージが…
「どうしました?重虎殿」
「呼び捨てで良いんだけど、き…あなたは?」
「私は篠山理兵衛、君を抱き抱えてる方の腹心ですよ」
そう言いながらぽんぽんと僕の頭を撫でる理兵衛殿。何だか今世の両親にも撫でられた覚えが無いから変な気分…
しがみついてる方の手をぎゅっと握り、向かう先に視線を向ければ屋敷の様な廃寺の様な、木造の建物が多く並ぶ場所に出た。
丹波君達はその外れにある石が並ぶ場所に近付くと…僕を抱えてるから足で落ち葉を探り始めた。ああもう~!僕降りるから!!
手で探した方が良いでしょ、と手に力を入れて降りようとしても「気にすんな」って降ろしてくれないぃぃ
「丹波君っ!僕明らかにお荷物だよねぇ?」
「ココを頼りにしてるから気にすんなって」
「僕の頭に期待しないで欲しいんだけど。理兵衛殿も~!」
「長、私が」
「頼む」