第1章 幼少期〜9
よしよしと撫でられてるけど、ほんと微笑ましい間抜けを見る目は止めてください…
もし僕に悪意があったら殺されてたやつ!!
間抜けでしかも素で自分で罠に掛かってったから警戒が薄れたやつだこれえぇぇ
「まあ、そんなに落ち込むな」
「…自分の阿呆さに呆れてるだけだよ」
「なら、そうだな…
この面倒が終わったらお前の話をじっくり聞かせて貰う。それが条件で良いな?」
竹中とか斎藤の内部情報じゃなくて僕の話?
出会ってから今まで、殺されなかった悪運は自分の事を話す事で精算?伊賀に利は一切無いと思うんだけど?
作ってる様なニヤーっとした笑みに怯えつつ、目的を聞けば気にすんなって言われたよ。気にするって。わざとだよねこれ!?
反論できずに口をぱくぱくと開閉させてる僕を見てケラケラと笑ったあと。再び駆ける丹波君に抵抗出来る訳もなく。
と言うかさっきまでの目的地分からない発言嘘だったんだね。もう目星着いてたんじゃないか。
あっさり織田の確執が原因で息子が巻き込まれてるって説明されたし。伊賀の有望な忍諸共、どさくさに紛れて抹殺しようとしていた計画とか知ってるんじゃないか。
「おや長。拾って来たのですね」
「居場所は掴んだか?理兵衛」
「……」
丹波君に協力者は居ないって誰も言ってないね。
側近居てもおかしくない立場ですよね。
僕も結構好感持ったから、だからこそ近くに誰か居ない事は無いよね。忍の演技って怖い。
すんごい死んだ目してたらまた笑われたけど。
笑ってるだけで弄る訳でもなく。黙って頭を撫でて来るのもまた腹立つから…無言で逞しい胸板をベシベシ叩かせて貰った。