第3章 蝶屋敷
機能回復訓練室から少し離れた個室ーー
「姉様。大丈夫ですか?」
千聡は心配そうに水筒を椅子に座る深聡に差し出す。
「はぁっ…はぁっ…はぁっ…ありがとう…ござい…ます。」
息も切れ切れでお礼を言いながら深聡は千聡から水筒を受け取った。
この個室に入った瞬間、緊張の糸が切れたかの様に椅子に捕まり息が荒くなった。
「昨夜から、無理をしすぎです。」
「心配いりませんよ…すぐに…息切れも治ります。」
深聡は水を飲みながら息を落ち着けていく。
「私が、結界を張ります。」
千聡の声を背で聞きながら深聡は神楽鈴を片付ける。
「大丈夫ですよ。私がやりますので。」
「姉様。」
千聡は深聡の背後に近づいていく。
「姉様は無理をし過ぎるところががあります。今までは、兄様たちが抑止をしてくれていましたが、もう玉依一族は私と姉様しかいません。」
「………。」
千聡はそっと深聡の両手を取る。
「大丈夫。千聡は私が護りますから…。」
「いえ、もう姉様に護られるだけでは、私は嫌なのです。」
「これからは、私も姉様が無理をしすぎない様に…支え合いたいです。」
「千聡……。」
「なので、結界をは私が張りますね。」
「えっ!千聡!なっ何を!」
千聡の方へ振り返ろうとして、深聡は違和感に気づいた。
「ちょっ…ちょっと待ってください!千聡!ほ、解いてください!」
後ろ手で縛られており、解くよう千聡に言うがすでに千聡は扉の方に足を向けていた。
「姉様、私の方が結界を張るのは速いです。すぐ終わらせて来ますので、この部屋で待っていて下さいね。」
最後の言葉を少し強調して千聡はいつも通りの笑顔で部屋を後にした。