第1章 1章 崩壊そして邂逅
「このお礼は必ずいたします。」
そう言って再度、実弥から離れようとする。
「妹の所へ行くのかァ?」
「な、なぜそれを!」
突然、千聡のことが出てきて、深聡は警戒心を表した。
そのことに気づいた実弥は敵意は無いというように両手を上げた。
「俺の同僚が、妹さんを保護しているから安心しろォ。」
実弥は務めて優しく言う。
「あ、ありがとうございます。」
垂衣をしていて深聡の表情は分からないが、少し声が震えていた。
深聡は実弥に背を向けて足を踏み出した。
「おィ!?まだ行くとこがあんのかよォ!」
その行動に実弥は驚いた。
「私と妹を逃すために母が戦っているはずです。加勢しに行きます。」
そういう深聡の足元はおぼつかない。
「おいおい、待てェ!そんなフラフラで行っても足手まといになるだけじゃねぇのかァ?」
「……その通りかもしれませんが、ただじっと待つことは出来ません。」
必ず行くという強い意志が現れているようにはっきりとした口調で深聡は言った。
折れないと悟った実弥は小さくため息を吐いた。
「俺もついて行くゥ。」
「いえ、私1人で大丈夫です。」
「うるせェ。サッサと行くぞォ。」