第1章 1章 崩壊そして邂逅
人の通りが殆どないと言っても過言ではない道は、デコボコとしていて千聡の足元を何度も掬った。その都度、深聡にしっかりと支えられて足速に進んでいく。
「っ!!」
その時、深聡は今まで感じたことのない気配を感じ、咄嗟に千聡を抱き込んだ。
ドスッドスッ
深聡の背を何かが貫いた。
「姉様!」
「くっ!」
「2人とも仕留めたかと思ったが……。」
偶然というものは積み重なる。
深聡と千聡の背後、辛うじて視界に入る所に1人の男・鬼舞辻󠄀無惨が立っていた。
深聡は膝から崩れ落ち巻き添えで千聡も地に膝をついた。
「お前たち一族が護っている物を渡せ。大人しく渡せば一瞬で殺してやる。」
鬼舞辻󠄀無惨の声が近づき、気が付けばすぐそこまで来ていた。
(まずい!千聡だけでも逃さなくては!)
深聡は激痛に耐えながら千聡だけでも逃す方法を考える。
(私が、時間を稼ぐしかありませんね……)
深聡はゆらりと立ち上がって鬼舞辻󠄀無惨に向き合った。
「千聡。先にーー。」
深聡が言い終わる前に鬼舞辻󠄀無惨の身体を矢が貫いた。
「!!」
矢の飛んできた方角を見ると巫女装束の女が弓を構えていた。
「か、母様!」
しかしその女は全身血に濡れていた。
「ほぅ。しぶとい女だな。まだ生きていたか。」
「私の……私の、娘たちに…手を出すな!!」
母の怒気を孕んだ声が聞こえたとともに鬼舞辻󠄀無惨と深聡の間に母が現れた。
「深聡、千聡!早く行きなさい!!」
母の声に弾かれたように深聡と千聡は走り出した。
(おそらく…すぐにあのおぞましい異形の者が来るでしょう。その前に早く狐邑神社に辿り着かなければ!)
「ー様。姉様!!」
千聡の声が深聡を思考の渦から呼び覚ました。
「どうしましたか?千聡。」