第1章 1章 崩壊そして邂逅
2月29日の夕方ーーー
「ついにこの日が来た。」
玉依一族本元の神社では話し合いが行われていた。
「今日は最も神社の結界が弱まる日だ。各々、市中に結界を張ったり鬼に狙われやすい人々にお守りを渡したと思うが…正直今年は人数も少ないため結界が破られるかもしれない。」
父の言葉に垂衣をしているためはっきりとした表情は分からないが皆の顔に緊張が走る。
「日が明けるまで、皆各自の神社で辛いと思うが結界を張り続けるように。わが一族の護りし物を絶対に異形の者たちに渡してはならん。」
祖父も続いて話す。
「では、そろそろ…各自守護する神社に行きましょう。」
母の声で皆動きはじめた。
「深聡、千聡。ちょっといいかしら?」
配置に着こうと立ち上がった深聡と千聡に祖母が声をかけた。
「今年は千聡が本元で祈祷をして深聡が狐邑神社を、守護をするのよね?」
「はい。お祖母様。」
「今年は何が起こるか分からないわ。本元は最後の砦よ。私も用心して守護をするけど深聡と千聡も気をつけるのよ。」
祖母は心配そうに深聡と千聡の手を握りしめた。
まるで最後のように…
「千聡は必ず私が守ります。お祖母様も気をつけて下さい。」
深聡は強い眼差しで言い、千聡は祖母の手を強く握り返した。
祖父と祖母が大蛇(おおみ)神社に向かって行った。
「深聡!千聡!」
続いて深聡と千聡を呼び止めたのは姉だった。
「私たちも絶対に結界が破られない様頑張るから安心して祈祷してちょうだいね。」
「ありがとうございます。姉様。日の出までやり遂げてみせます。」
姉は深聡と千聡を抱きしめて言蔵神社へと向かった。
「深聡ー!千聡ー!」
続いて兄が深聡と千聡に駆け寄ってくる。
「お兄ちゃんは心配だよ!2人で大丈夫か?お兄ちゃんの式神置いて行こうか?」
「はいはい。深聡ちゃんと千聡ちゃんは貴方より霊力が高いから貴方の式神なんて役に立たないわよ。」
「義姉さま!」