第19章 アフター・ダンスパーティー
「やーだねっ!オマエが必死にキスしようとしてんの、可愛くてもっと見てたいの。いつも可愛いけど今晩はとびきりキュートなんだもん」
『出来ないのならキスしないけどいいね?』
「えっそっちの方がやだ、キスはしておきたいかな」
瞬時に残念がる悟はわざと避けてた顔を私へと寄せて互いの唇が触れる。
帰宅してのキスにしては少し長めで、熱く深く触れ、離れた後の悟の唇には色付いていた。元は私の唇に乗せていた赤。完全に唇に沿って、というわけじゃないけれど少し斜めに着いた鮮やかなキスマークが悟には不釣り合いで。
『……ぷっ、』
「ん?どうしたの?」
腰を引き寄せたままに、私も腰に手腕を回したままに。
可笑しくて笑う私に、その笑う理由を知らない悟は首を傾げて不思議がっていた。
「何か可笑しい事、あった?」
『んっ…、ふふっ……私の口紅が移ってるよ、悟に』
ふーん?と笑みを浮かべたままに聞く悟は私の腰をより引き寄せてる。
「外で待ちきれずにキスしてたら皆の笑いものだったね。けどここは僕らの愛の巣、僕らしかいない。
パーティーに向かう前にも宣言してたしね、いつもよりもバチバチにキメちゃったふたりでこの前みたいな夜のダンスでもしよっか?」
にこー、と笑ってる悟だけど、押し付けられた腰には固くなったもの。ゴリゴリと丁度ドレス越しの私の下半身に擦り付けてる。
ここは玄関先、ここではしたくない…何度か経験上、床だと腰がめっちゃ痛いし…!
首を横にぶんぶん振ると髪飾りやちょっと巻いた髪が素肌をくすぐる。これらもなんとかしたいけど、お風呂だとか行かせてと言った所で悟は首を横に振るんだろうな、と予測が出来て。
はあ、とひとつため息をはきつつ場所くらいは交渉が出来るはずだ、と悟を見上げた。
『別に良いけどベッドにして。玄関はやだ』
「なんで?ここもスリリングで良いじゃん…っ、オマエの声が外に聴こえちゃいそうでさあ……」
熱い吐息が左肩に掛かる。それだけで期待してぞくっ、として。変わらずに腰を緩やかに振りながら擦れる下半身。そこが熱っぽく感じる。
ちゅう…っ、と鎖骨辺りに悟は吸い付いてひとつ、ふたつとキスマークを着け始めて既にここで事が始まろうとしていた。
始まったら壁で押さえつけられて、じゃ終わらない。床に押し倒されて本格的にする…!