第19章 アフター・ダンスパーティー
左手を持つ手。もう片手で私の手に重ねる悟は私の目をじっと見ていた。とても真剣に…。
「死んだら卒業なんて関係ないだろ。オマエさ、元々家族に早死にするって思われてたんだぞ?非術師として生きられないから呪術師になる道を選んでも、僕と出会ってから何度も死にかけてるじゃん。
……僕とハルカとの間に何も残せずにオマエに死なれたら僕はどうすれば良いの?」
『それは……、』
「僕をひとりにさせる気じゃないよね?……ひとりぼっちは嫌だよ?」
任務中とかに私が先に死んだら、なんて。反対に悟が死ぬなんて事は簡単に想像出来なくて。私が死んだ場合に残された悟にアドバイスなんて良い案が思いつかなくて俯く私に、悟は追い打ちを掛けてくる。
「軽い任務なら平気、そう簡単にハルカは死なないでしょ。重い任務はなるべく避けて欲しいな。元々春日の一族ってのはサポート向きなんだしね?
次死にかけたらさっき宣言した通り、速攻オマエとの子作りライフを始めるから。ピルは取り上げるし危険日にじゃんじゃん中出しして、妊娠発覚したら寮からお引越かな?」
『めちゃくちゃ計画的過ぎない…?それ……』
「そうかな?まだ緩い計画だけど計画実行されたくないなら今後気を付けてよ、ハルカ」
はい…、と返事をする私の手を握りしめる悟。
ひんやりとして硬いアイアンチェア。そこから悟は腰をあげながら、私の左手を持ち上げる。必然的に私も腰を上げた。
にっこりと、さっきまでの重い約束なんてされてなかったみたいな笑みを浮かべてエスコートをしながら中庭から会場へと足は進んでいく。
「さっ!僕の可愛い奥さんをもっと自慢したくなっちゃったから、あと少しだけパーティーを楽しんでいこう、ハルカ!」
『……うん!』
悟に引かれて、また会場へと私達は戻っていった。