第19章 アフター・ダンスパーティー
171.
悟(アイマスク着用)にエスコートされつつ車から降りれば、某ホテルが目の前にありましたとさ…。
時間も時間、また日も落ちて涼しくなった黄昏時。少し生ぬるい風がいつもと違う服装から入り込み、足元……、素肌を撫でる。
悟は私の腰に手を添えてそのまま一緒に進んでいく。
呪術師の立食型交流パーティー…、ホテル丸々ではなくとも大広間を借りてるらしい。また遠くからやってくる呪術師もいるし、お酒を飲む人もいるだろうから希望者は事前に言えば宿泊も出来るそうで。
……まあ、私達学生は明日普通に学校なんですけれど。翌日休みだったらちょっとそれは考えたかもしれない。
続々と入り口へと吸い込まれる様に集まっていく黒地の正装を纏った人達。その一部になるように私と悟も進んでいった。
よく見れば見知った人間も多いなあ……先に入っていったのは二年の担任の日下部。隣を歩くはパンダ。あと、確か…七海の隣に付き添ってる人は、沖縄帰りにリベルタアジトへ行った時、奥で戦ってた術師。
『はえー…、名前知らなくてもどっかで見た!って人とか居るね~…』
「ん、まあね。高専の協力者関連の呪術師、その全員が集まってるってワケじゃないけど。五条家当主の僕も出てんだ、加茂家や禪院家だって居るよ。
オマエは色んな意味で有名だからここなら安全だーっつってひとりになっちゃ駄目ね、拐われたら厄介だし」
『……肝に銘じておきます』
結構集まって来ているこの人達は皆、呪術関係者。人材不足っていう割に結構居るんじゃ……って考えた所ではっとした。こんなに人集まってるけど時間は大丈夫だよね?と思わず時間を確認した。ほら、だって私の隣に居るのは遅刻常習犯だし!
確認の携帯画面、なるべく時間だけを見る(この前のアイマスク無しの悟が設定されてる)……ホッ、良かった遅刻じゃない。思わず安堵のため息をつくと私のお願いを聞いてやっとアイマスクをしてくれた悟が私の様子に気が付く。少し屈んで私に顔を近付けた。
「どったの?」
『いや、さ…。時間前でも結構人集まってるし悟と一緒に来たからには遅刻してんじゃないのかなって』
はっはっは、と楽しげに笑って真顔になる悟。