第19章 アフター・ダンスパーティー
「流石に上のやつらも居るしねー…遅刻出来ないっしょ。
皆もこういう立食パーティーでさ、美味しいの出されたり雰囲気もあり非日常的!って浮かれるんだろうねー、テンションぶち上がりで時間前に集まっちゃうんだよ」
ふーん、と返事をして。む?と悟の顔を覗き込む。
最初のその悟の発言はおかしいぞ。ボロを出した犯人を追い詰めるようにおっちゃんや刑事達に突っ込むコナン君ばりに悟につっこんだ。
『あっれれーそれはおかしいなあ?それって相手で判断して遅刻を故意にしてますって告白じゃない?遅刻するのはいけないことだって考えじゃないのかなあ?そこんところどう思ってます?特級呪術師さん?』
きっと目元も笑ってるんだろうな。笑窪を作りやんちゃ坊主全開の満面の笑みで頷いて笑う、特級呪術師の悟。
「うんっ!人を見て責められない程度に収めてまーっす!だって僕、天才だから!」
『かーっ、なーにが天才じゃ!これからは呪術師の、じゃなくて遅刻の天才って自称しとけヴァ?』
案内されるままに進む私達。靴音は床一面に敷かれたカーペットで甲高く鳴る事はなく、ヒールの音が控えめにコッコッ、と足元で鳴らしつつ進んだ。会場に進んでいる最中、皆お洒落に決め込んでるものだから色んな香りを纏ってる。
かくいう私も悟も香水を着けていた。これほどまでに色んな香りがすれば匂いだけで判断出来てしまいそうだなあ……。
歩きながらに身を屈め、私の視界の多くを占めてくるアイマスクの男。
「五条悟入陣曲(勇ましきはアイマスクの者、天才最強の五条悟なり)しちゃうぞ?」
『やめろー?宝具禁止だから』
この人、隙を見てアイマスクを取ろうとしてる。上層部の人に挨拶するなら……なら仕方ないって諦めがつくけれど私の反応を見たいからってのはナシ。
宝具禁止を言い渡され、口をまた小鳥みたいにさせて身を起こした悟に再び腰に手を回されながら共に進む先、何やら人が集まってる。圧倒的存在感、さっき見たパンダもいるし何の集まりかは一目瞭然。高専の学校関連者達。生徒も教師も居る。
「おっ、ハルカじゃねーか。随分と気合入れて来たな?似合ってるよ」
最初に真希がこちらを見てにっ!と笑った。