第19章 アフター・ダンスパーティー
はあー…と残念だなってため息が出た。たまにはこうして出掛けても良いじゃんって思うんだけれどなあ。悟には行かない事にしましたって連絡入れとこ。
未だに暴走した悟から"もちろん人前で「あーん」ってする事"だとか"どうせ出かけるんでしょ?どぎついえっちな下着買ってきてそれ着てしようね、楽しみだなー"とか私が外出する方向になってるから急いで訂正しなくちゃ。
「全く、先生も余裕のある大人ー!とか言っちゃって本当は全然余裕ないじゃない。束縛メンヘラ男かよ、あんたも大変ね…」
肩をバシン、と叩かれフォローが出来ねえな、と肩を透かしてひとつ私は頷く。
余裕持った悟ばかりを意識してたけれど、こうしてみると意外と余裕無い人だったんだな。とても私を好きでいるって気持ちは充分に伝わってるんだけれど。
今日何度目かの大きなため息を吐き出しながらより退屈になる数学のテキストを机から私は取り出した。
そろそろ一限目が始まる。立ち上がって椅子を元の席へと戻す野薔薇に向かって。
『親離れできない子供というか、いつもお見苦しい担任を見せてしまい申し訳ない……』
トントン、とテキストとノートを重ね、揃えて机に置いた野薔薇はにかっ!と笑った。
「ハルカが支えているから先生も甘えたいんでしょ、人前はともかく見えない所ではたっぷり甘えさせておいたら?」
『そのはずなんだけれどねー…?むしろ甘くしすぎてるというか、』
不思議だなー、と首を傾げていたら数学担当の教員が入ってきたので私達は私語を止め口を閉じ、皆、教卓を見て授業の気分へと切り替えていった。