第19章 アフター・ダンスパーティー
「えっ、ハルカと先生喧嘩してんの?先生、喧嘩の放置はどうかと思いますけどー?大体先生がやらかしたんでしょ?」
野薔薇に触れられる舌打ちの件。
今触れられると調子に乗るから、と両手を軽く上げて首を横に振っても悟はそれにノッてしまった。
「うーん、仲が悪いわけじゃなくてむしろ仲が良すぎる方なんだけれどねー?昨日も今朝もさー…
うーん、ツンデレに目覚めちゃったのかなー、僕の奥さん?」
『学校に居る時は変に特別扱いしないで下さいね、"先生"。
…余裕ねえツラをいつか拝ませて貰うし……』
頬杖をつき、教卓に居る悟から視線を反らす。
別に悟が悪いっていうよりも執拗なほどに愛情を注ぎ込まれる事に受け止めきれない体力でダウンした私が悪いのは知ってるよ。
私ひとりで余裕がないことに腹を立ててる……ただの子供っぽいやつあたりだって事も。
そういう事を知ってか知らずか。悟は「ククッ」と短く笑い声を上げた。
「アッもしかして今朝の件かな?残念ッ!いつどんな時も余裕のよっちゃん!天才最強のスパダリ、五条悟なのでした!フォーマルスタイルになるとハルカお墨付きのめちゃ格好良い先生になるよーっ!Foooo!」
『……私の目が曇ってたようです、自力で治癒が無理っぽいから硝子さんに治してもらお』
「なに言ってんの、キミの瞳は正常純情亀参上の苗字は五条、全くもって曇りなき眼ダヨー」
……無視して良いかな、もう連絡事項終わったし。
全力でこの人は煽ってくんなあ…、煽り検定第一級か?ああん?と無言で教卓の悟を見上げた。目があった瞬間に関節どうなってんの、というレベルで小躍りして浮かれてる悟。学園ハンサムのマネをするな。
私の握りしめた拳、関節がパキ、と音を鳴らした後に、「センセー」と質問をする虎杖。ダンスを止め、再び教卓に手をついて悟は虎杖の方向を見てる。
「んー?どったの?悠仁」
「先生は余裕っていうけどさー、ハルカが居なくなったって時と倒れた時めちゃくちゃ焦ってたけどあれはノーカン?」
……へえ、悟焦ったんだ…?
その時の様子を全く知らない私にとって、そんな余裕を無くす悟は見られてない。そりゃあ攫われてたりぶっ倒れてたら見れないしね。
『虎杖ナイス後で事情聴取』
「悠仁やめて?ノーカンに決まってるでしょ?事情聴取受けちゃ駄目ね、ハルカがこくから」