第19章 アフター・ダンスパーティー
どう映ってる、だなんて。
んなモン背景にキラキラしたエフェクト背負った呪術界のSSR、かつ期間限定お着替えバージョンのあんただよっ!と喉まで出掛けた言葉を飲み込む。
やや私側へと傾けられる体、首筋に悟の髪がさらっ、と当たってくすぐったい。
『……んっ、ちょっと、』
「黙ってないでオマエの口から聞きたいんだけど?」
耳に鼻先が当たって。鼓膜から直接に拾う言葉さえもわざわざ色気を込めた声で囁いてる。耳から聴いたっていうのに背筋からぞくぞくぞくっ、と駆け上がるなにか。体の力も気を抜いたら抜けてしまいそうで壁に背を預けてなかったら腰から砕けたみたいに座り込んでたよ……。
『~~~っ!わかっ、た!わかったから耳元でのそれっ、駄目!反則っ!』
耳元で囁いてた悟は少し体を離してじーっと私の顔を見てる。余裕そうな笑みがもう腹立つ…っ!こういう彼には勝てっこないって私自身でも分かってるし!
逃げられない。悟は私の両手首を掴んだまま。壁に優しく押さえつけてるから。
顔が熱い、バストアップ程度だけれどさっきの印象が脳に焼き付いてて、悔しいけれどもこの人は格好良い人なんだと再認識した。知ってたけれども今回思い切り、五条悟という男に落とされた。
『すっ…ごく、格好良いです…』
目の前のスカイブルーから視線を反らした。
穴があったら入りたい、くらいに逃げ出したくて緩い拘束から手を引っこ抜こうとした瞬間にきゅ、とちょっとだけ強められた手。だいたい一緒である体温なのにグローブ越しの悟が熱く感じる。
「ふーん…当たり前だよね、僕が格好良いのなんてさ。すっごくじゃ曖昧すぎるから具体的に言ってよ。
ていうかさー、ちゃんと僕を見て話してくれないかなあ、ハルカ。人と話をする時は、目と目……合わせるでしょ?」
具体的なんてどう話せば良いのさ!それに目を見て、なんて。そんな事したら真っ赤になるのが見えてる。恥ずか死する!
悟の要求を拒否するようにぶんぶんと首を振ると、少しだけ上の方…目の前の彼はククッ、と怪しげに笑い声を上げた。