第19章 アフター・ダンスパーティー
「この期に及んで拒否するなんて状況が分かってないね?玄関先だけどここで犯しちゃおうか?えっちする時に避妊しないといけないけど、外に出さずに中にいっぱい出してね?そんな事したら僕ら念願の赤ちゃんが出来ちゃうんじゃない?」
私の学生生活の終わりを取引に出してきやがった…。
恐る恐る反らした視線を上げ彼の青い目へと視線を戻すと、私の反応を見てすごく楽しんでる彼。ばち、と視線が合った瞬間に歯を見せて笑った。自分の容姿に自信を持った微笑み。
「ねえ、ハルカ。具体的にどれくらい格好良い?」
言わなければ玄関先で組み敷かれて排卵日間近に出される。
悟の事だからそういう時にしたら10ヶ月生理停止確定コース。高専来たての超ひよっこの私は学生生活ちょっぴり体験コースで終了を迎える。それはちょっと嫌だ。
諦めて、はあ、とため息と共に肩の力を降ろして口を開いた。
『……言うまで手も離してくれないんでしょ、悟。
格好良さはね……具体的に言えるのか分からないけど。やばい、一目惚れレベル、いやガチ惚れかもしれない。過去一番で人を好きになった、みたいな……ソンナ感ジデス…』
ブラックホールばりの視線の吸引力。昨日今日とかじゃなくとっくの昔に好きになってるんだから仕方ないし。目の前できょとん、としてから悟は嬉しそうに笑った。ほんのりとお酒でも入ったみたいに頬を色付かせて。
「奥さんにそうも言われちゃあ僕も嬉しすぎるんですけど?惚れ直させちゃったとか僕も罪深い男だねー…好きなだけ僕に惚れてよ、奥さんなんだから。ハルカだけの五条悟だしね?」
『……だから直視すんのがヤバイんだって!』
「じゃあ、慣れないと……」
少し細められた青が私の背丈までしゃがんで覗き込む。
ぶわっ、とサウナでも入ったみたいになった。反らすにも反らせない至近距離にどうしようもなくて。
『……顔だけ見れば私生活残念ボーイ顔だけ見れば私生活残念ボーイ顔だけ見れば私生活残念ボーイ』
「自己暗示すんなよ」
攻めに掛かったキメ顔も、やや喧嘩腰な顔になったので少し顔を反らして私はため息を吐いた。
はあー…命拾いした。