第19章 アフター・ダンスパーティー
『……忠告聞いてまで持ってるドレスをゴリ押しはしないからね?』
SNSのアプリ広告が脳裏に流れる。その場に合わない服で出掛けて呆れられるってやつでしょ。
そんなにお気に入りってわけでもないし、別に黒ベースならその規定に合わせて新しく購入するのは賛成だけど。
「…それにハルカはもう、五条なんだからその辺のデパートに入ってる服屋とか?しまむらとかジャスコとかお友達のお古だとか既製品買っちゃ駄目!」
『ジャスコ言うなイオン言え』
悟が「それから」と追加するもんだから続きのしまむらについての文句を言おうとした所を引っ込めてとりあえず黙る。
「次回、近日中に開催される呪術師の交流パーティー、しっかりと上の人にも挨拶しに行くからそんな5万程度で買えちゃいそうな安物だと僕恥ずかしいです。せめてメイドインチャイナは卒業してさー」
『ぐっ…善処いたします……』
今までと状況が違うんだ、これからは慣れないといけない。多分、その状況の違う初回のイベントと思われるパーティー。
私の返事に「よろしい!」と悟は笑って。
「っていう事で今晩、お家でひとりごはんにさせちゃうけどごめんね?なんなら野薔薇とかと食べたって良いんだよ?でも外出は駄目、硝子も居ないしね。
僕が部屋に帰ってお前が居なかったら泣いて暴れるから」
余裕そうな口元なのに言葉がちびっこムーブ。
泣いて暴れるからって。子供かー?そう言いたいのを我慢しつつ。
帰りのホームルームに居ないって事は部屋で悟が帰るまでは朝はこれっきりという事で。
『……パーティー楽しんで来なよ、でも悟の場合はお酒は飲んじゃ駄目だからね?下戸なんだから』
「それくらいは分かってますー。オマエも夜は外出しないでちゃんとお部屋で僕の事待っててよ?帰ったらちゃんとおかえりなさーい、アナタ(はぁと)ってキスしてよね?今晩上層部のジジババが来てるから僕、MP大量消費確定でさー多分めっちゃ疲れてるから、帰って速攻奥さんに癒やされたいの」
悟のストレスの多くは上層部だからなあ。
通常皆にストレスを撒く事に長けている(…って言って良いのかな?)彼にとっての珍しい苦手なもの。そこに行くんじゃ今日は帰って荒れてそうだ。
しょんぼりと頭をもたげていた悟はばっ!と顔を上げた。