第19章 アフター・ダンスパーティー
幼少期に夢見た、大人になったらホームパーティーを開き、塩味の効いたサクサクのクラッカーに、チーズやマヨネーズ、ツナとかキュウリのスライスだのいくらだのハムだのサーモンだの……そういうのを乗っけてパーティー会場(家)を行き来するのかな、と思っていた。
実際大人になった今となっては現実にはなかった。というか一般的な関係上パーティー行ってきたー!とかまず周辺で聞いたこともないのだけれど。
もはや異国の響きと化した、馴染みの無さすぎるパーティーに首を傾げていると悟は肩を奮わせてククッ、と笑って壁に寄り掛かってる。
「もー…慣れないものかねー…?今回は僕ひとりで行くけどこれからの事もあるしオマエのオーダーメイドドレス、今度注文しに行くよ。近いうちに呪術師の交流パーティもあるだろうからね」
多分、それについての会議含むパーティーなんだと思うんだ、と悟は壁に寄り掛かったまま腕を組む。
階段の手すりに片手を乗せ、私はそんな余裕を持った悟を見た。パーティー慣れしてんだろうなあ、流石五条家当主と言いますか。
『買いに、じゃなくて作りに、の注文なんだねー…私、実家に友人の結婚式に着てったパーティードレスならあるけどそれじゃ駄目なの?』
部屋のクローゼットの中に薄緑と白いレースのカクテルドレスがあったはず。思い浮かべながら悟に聞くと、口角をちょっと上げられた。
「へえー…何色?」
『薄緑に白の、』
「はい駄目でーす、そんなゆるふわティンカーベルカラーなんてカタギの世界だけですねー!」
眉間に皺を寄せつつ悟を見る。デザイン、ティンカーベルみたいなやつじゃねえよ?それにカタギってなんだよ、呪術師はヤンチャの総称か?
組んだ腕を解き、その片手の人差し指をぴし、と上げて悟はそのまま続ける。
「基本、呪術師は黒ベースが多いでしょ?それに倣ってパーティードレスもベースは黒なの。まあ、ちょっと青混じりとかそういうのはあるけれどさ。妖精さんみたいなドレス着てったら超浮きまくる、洋風ドレスアップゲームの広告みたいな事になっちゃうよ?オマエ?」