第19章 アフター・ダンスパーティー
「下ネタじゃないよ、思春期真っ盛りな皆を期待させてごめんねっ!普通にお家の問題ってことで先出てるよ」
「えっ…そうなん……」
ちょっと期待してたかもしれない虎杖をしらーっと見ると、視線をぷい、と反らし、その先の野薔薇と目があったらしく更に目を反らす虎杖。視線が合ったかは分からないけれど伏黒方面をチラ見して…最終的に虎杖は天井をばっ!と向いた。
「べ、別に期待してたワケじゃないけどぉ!?」
「「嘘つけ」」
先にドアの外に行く悟の姿はもう見えない。下ネタじゃなくて普通にまともな話だとは、と私は椅子から立ち上がって悟が出ていったドアから後を速歩きで追った。
いつもだとさ、重要な事!って言ってもまとも2のロクでもない発言5、残り3は愛情表現…それくらいの比率。あ、まとも2は言いすぎたかも。1かもしれない。ロクでもない発言にその1がプラスされていく…そんな男、五条悟の重要な話。
悟の話を気にしてしまったからにふたりに見られている虎杖の図を見つつ、教室から廊下に私は飛び出す。
すると少し離れた場所に立ってる悟が片手で手招いてた。
「こっちこっちこっち!はーやーくっ!」
『……子供かー?』
離れた位置に移動してるので、速歩きを小走りに変えて悟の元に向かう。
廊下のど真ん中、悟は私が向かっていると分かると、手招いてた手を降ろしそのままズボンのポケットに両手を突っ込んでにこ、と口元に笑みを浮かべて私を待っていた。
悟の目の前に辿り着くと「はい、ゴール!」と言って止めていた足をくるりと180度、綺麗に回して私から見て進行方向へゆっくりと歩き出す。その隣を合わせて私も歩く。
「今日ねー、僕、夕方から知り合いのパーティーに呼ばれてんのよ。本当はオマエ連れて行きたかったんだけどね……」
『パーティー…、』
階段までやってきて足を止めアイマスクの悟を見上げた。
母方の旧姓なら大きめの家でも人と関わらなかった春日家。かといってみたらい家は完全一般人。パーティーなんて友達との小規模なクリスマスパーティーだとかゲーム内のマリオなパーティーとかしか関わっちゃいない。それらはまあ盛り上がるんだけどさ…?
現実的にそういう会場でやるような、ドレスコードを必要とするようなパーティーなんて、庶民には聞いたことあってもそう参加することのないイベント。