第3章 呪術を使いこなす事
「ハルカのお父さんやけに荒れてるねぇ…」
「お義父さんと言われる筋合いはないっ!」
「五条さん、ややこしくなるんで黙って貰っても良いですか?」
七海に言われはいはい、と言って悟は、ぞろぞろ向かってくる呪いをちらりと見ると捩れるように潰れて地に伏せていく。
全ての呪いがねじ切れて祓われていくと、悟は片手を上げて父親に近付いていった。
「ちょっとおウチ上がらせて貰うねー」
近付いたっていうか、家に上がっていったんかい。
身構えていた所にそう言われたので、ぽかんとした父親がふるふると震えているので私は駆け出す。そして父親の腕を掴んだ。
「ハルカっ、何なんだあの男は!」
『父ちゃん!落ち着いて!』
私の腕を振りほどき、父は家にと入って行った。
喧嘩っ早い父だ。悟が強いとはいえ……どっちも心配になる。私の側に来た七海ははぁ、とため息を吐く。
『はぁー…もう…家の中に入っちゃったよ…』
「帳を降ろします、あの人ならもう始めてるでしょう。あなたはとりあえずお父様を……"闇より出でて闇より黒くその穢れを禊ぎ祓え"」
上空からドロドロと黒いものが垂れ流されていく。それを見て私は家の玄関へと急いだ。