第18章 美術品のように愛でないで
『ほら、悟。思い出してみなよ、触ってみて分かるでしょ?沖縄最終日の用意してくれた下着だよ?私達にしたら最後にえっちした時の下着だねー?今、指が触った所が穴空いてる所だよ?』
「……っ!~~~っ!?クッ!
……スゥーっ…」
……感情が迷子っていうのを初めてみた…。
驚いた顔、焦る顔、少しだけ眉間に皺を寄せて険しい顔になった後に某無人島番組宜しく、「黙っとれー…」という賢者のような表情をして固まった悟。
「悟…?これは……どういう感情なんだ……?」
そろーっと覗き込む傑。私もこんな悟の表情のバーゲンセールは初めてみた。
ううん、と咳払いした傑はそっと出口へと進んでいく。めちゃくちゃ疲れてる背中。そりゃあそうだよね、任務の後に立ち寄った中での修羅場だったのだし。
「なんか解決に向かってるみたいだし、私も疲れたからそろそろ出ていくよ……。
言っておくけれど、仲直りのコミュニケーションはここでは止めなよ、ふたり共。それから声も気を付けるように」
巻き込んでしまったな、と傑に申し訳なくなった。言葉の出ない悟の代わりに私が頷く。
悟はようやく止まった思考が動き出したのだけれど、むに、むに…と動き始める服の中の悟の手。理性がちょっと吹っ飛んでて、突っ込ませた手首は私の方から手を離しても悟の手は服の中から抜かれず、無心で揉んでいる。怒りとか消えて"こっち"に全振りされた意識。
もう私も怒りなんてどっかに吹っ飛んでいった。
『傑さん。相談ありがとうございました、この様子じゃあ……なんとかなりそうです』
ははは…と苦笑いしてる夏油。
「相談は良いけれど、痴話喧嘩に巻き込まれるのは御免かな?特に君、怒ると怖いし」
『怖……?ハイ、すみません……』
ガララ、と開いてはヒビ割れが進行しないようにとゆっくり閉まるドア。
ふたりきりになると黙って、もう片手も服に突っ込んで胸を揉み、先端を弄りだす悟。医務室である事のハラハラ感、そして一ヶ月以上経った久しぶりの前戯に少しずつ私もその気になってきていた。
じわ、と悟を求める下半身を意識してる。ここで出来ないからって部屋に戻るのはそこまで保ちそうもなく。