• テキストサイズ

【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第18章 美術品のように愛でないで


ふたりから僅かに離れた位置に居る私。このまま放置は事態が悪化するな、とそんな予感がしたので、ずんずんと歩み寄り悟と傑の側に立つ。悟による、夏油の袈裟の胸ぐらを掴んで密着した体、ふたりの間に両腕を突っ込んで密着を裂く様にべりっ、と引き剥がした。
渋々袈裟から手を離した悟はチッ、と舌打ちして傑は乱れた服を手直ししてる。悟の見下すような冷たい視線が私に注がれた。

「……なに?そんなに俺より傑が良いワケ?」
『私、傑さんに色々相談を聞いて貰ってただけなんだけれど。何そうキレ散らかしてんの?』
「は?別にキレ散らかしてねえんだけれど?俺、平常心だし」

分かってるんだか分かって無いんだか。冷静さを欠け、余裕さえもない。口調も一人称もバレバレだっていうのにね。
こんなにも分かりやすいのに分からない悟に、はあー、と深く息を吐いた。

『嘘つけ、ガチギレしてるじゃん。まさか自分でキレてる事に分かってないの?素もさ、さっきから出っぱなしなんだけれど?』
「あ゙?」

喧嘩腰になる悟と睨み合ってると、さっきまでつかみ合ってた傑が声を掛けてきた。

「医務室で喧嘩してこれ以上ここを荒らしたら硝子にめちゃくちゃ怒られるよ?喧嘩しても良いけど冷静にならないか?」

……。
それも一理あるんだよな、と誰も座ってない椅子2脚を見る。ひとりはベッドで良いかな。私もつい、キレる悟に対して冷静さを失いつつあったわ。

『はぁー……まあ、落ち着いてさ。とりあえず座ったら?椅子もあるしベッドに腰掛けても良いし…』

チッ、と舌打ちをして腕を組む悟。

「オマエらがヤリまくって精液垂らしたベッドとか座りたくねえんだけれど?」
『あ゙?だからしてないっつってんだろ?その耳は飾りか?』
「まあまあまあまあ!落ち着こう!?君達が冷静にならなくてどうするんだい!?」

傑が私と悟の間に入って睨み合う距離を少し離す。さっきの私みたいな事させちゃったな、と沸き立つ怒りを平常心、平常心…と落ち着かせながら。
ベッドには座りたくないっていうんだ、じゃあ私が座る、てか立ってるか。
机の方に私は近付き、キャスター付きの椅子を悟の方向に蹴って転がす。
/ 2273ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp