第18章 美術品のように愛でないで
一年だけじゃなく二年も面白がって携帯をこちらに向けている。カメラの準備はOKで。
さてさて、と捕まえた獲物…悟をしっかり捕まえた所で、体格差を補うように、反転術式"怒髪天"を使用しながらに逆さにしてしっかりと例の体位を開始する。耳元で悟がギャンギャンと叫んでいた。
「やめてっ!乱暴しないでよ、エロ同人みたいにっ!あられもない格好になる!さっきハルカの事、変な連れ込み男から助けたじゃん!助けなかったら今頃連れ込まれた車が前後に揺れ動く案件だったんだよ!?『うるせー黙ってろ!』その恩人に対してこれは無いと思うんだけれどっ!酷いよハルカ、DVだDV!ドメスティックバイオレンスしてるよっ!」
悟に借りた上着からのぞいてる素肌に、逆さになった悟の髪が当たってくすぐったい。けれどもこれはまだ構えた段階であって、この後はどすん、と決めるフェーズが残ってる。
情緒不安定な叫びを上げる悟。多分、それさえも誰かの動画に収められてんぞ…?
「やだっ!こんな格好……お嫁に行けなくなるじゃん!!どう責任とってくれんのよっ!
あっハルカを嫁に貰ってた!万事解決、お後がよろしいよう……いや、この状況、良くないやっ!」
耳元で騒ぐ小型犬みたいなモンだからいつもよりもうるさい。
『このまま砂じゃなくて海に落とすぞ?』
「やめて?」
構え終えて、砂浜にどすん、と私が尻もちを着く。あられもないポーズの悟、髪がくすぐったい、そして耳元でぎゃー!とうるさい。
虎杖がゲラゲラ笑いながら連写していた。
『よーし、今撮って貰ってるの……傑さんに送ろう!』
「ちょ、なんで傑に送るのっ!」
焦る口調の悟。……降ろして?まだ降ろさぬわっ!
私が悟の処刑映像を傑に送る理由。それは。
真横で逆さになった悟に向け、ニヤリと笑う。
『"次はお前だ"の意味を込めてさ、送るんだよォ…』
「何それ脅迫じゃん……怖っ、ハルカ怖っ…」
ガチトーンで恐れおののく悟を私は初めてみた。まあ、これであまり酷いオイタをしたらこうなるんだぞ?という教訓になれば良いんだけれど。
悟をぽいっ、と解放後、のんびりと携帯を操作すると全員から計40枚程のキン肉バスターツーショットと動画が送られてきていた。