第18章 美術品のように愛でないで
「まーしょうがないっか!今回は僕の事を旦那さんって言ってくれた奥さんが可愛かったので悟くん、ちょっと得しちゃいました☆走ってる時のボインボインする所とか眼福です!」
『んー?不審者がふたり居るな…?突き出しとく?』
「突き出すのはキミの腰と僕の下半……
ごめんなさい、ハルカそのゴミを見るような目はやめて、心に来るっ!」
おじさんに海の男を引き渡した後に悟の背を押した所で悟は必死に謝った。結局は悟は突き出さず男だけを突き出した後、ゆっくりと皆の元へと戻れば、二年が圧勝していたようで。
おかえりー、にただいま、と返しながら隣に居た悟を私はがっちりと掴んだ。
「ん?どうしたの?寂しんぼちゃんモードきた?」
手を繋ぐなら恋人繋ぎが鉄板じゃない?というお花畑な思考の悟。私は悟に逃げられないように手首を掴んでいた。
『ほざけ。私が忘れていたと思ってた?残念、刑を執行させて頂きます!とくとあじわえ、キン肉バスターをよォ!』
かつて父が兄に掛けていた事があって、印象的だった。それは私…娘にも受け継がれてる。私も成人後、兄にやった。
まさか悟にやるとは思ってなかったけれど、これは記念すべき日になる、ルンルン気分でふすん、と鼻で笑った。
「まっ、待ってハルカ話せば分かる、話せば分かるって!」
『安全の為にサングラスは預からせて貰いまーす……うを、暗くて見えねっ!このレイバンがよぉ』
「…これはレイバンじゃないよ?」
壊さないようにしないと、と悟のサングラスを強奪して自身で掛けるも逆に危ない。近くにいた野薔薇に『レイバン預かってて』と片手で渡すと(レイバンじゃないもん!と悟が否定してた)同じく掛けて、「わっ!このレイバン見えねっ!」と額へと上げていた。
『携帯で写真を誰か撮って私に送って下さいません?私よりもこの処される哀れな先公をよォ……』
「やめてっ!善良な教師の僕に乱暴しないでっ!」
「先生ー、善良な教師ならセクハラはしないと思いまーす。
誰がとは言わず皆面白い光景だからって撮っておくけどさー…口調が両親譲りになってんだけど…ハルカ」