第18章 美術品のように愛でないで
「気持ち悪いとか心外だなあ。幸せ過ぎるゆえのため息だゾ☆」
『気持ち悪さ増量キャンペーンか?』
「んもーう、つれないなぁ!……はい、ハルカでしょ、次!」
ぽーん、と投げられたものを片手で受け取って、二年側に向けてぽーん、と打ち込んだ。流石に殴ったり鋭利な爪があるわけじゃないから緩い弧を描いて飛んでいくボール。
それは狗巻の方へと行った。彼ならばとりあえず普通に続けられるんじゃないかって思っての狙いで。
「しゃけ、」
ポン、と空へと上げる狗巻。それを真希が打ち込みに行く。
「おらっ!」
「……っと!」
伏黒がスライディング気味に少し砂を撒き散らしながら、片手を伸ばし打ち上げる。やや背丈程に上げられたボールを野薔薇が向こうへとぽん、と返した。
「はいっ!……まともな試合になってきたわね!」
野薔薇のボールは乙骨へ。そこからトスして浮き上がるボールを狗巻がこっちへと回して……。
「うーん!実に良いラリーしてきてるねー!」
「俺が抜けてから正常になったとか複雑なんだけどなー……まあどっちも良い感じに続いてんな」
破裂することなく、ポン、ポンと良い跳ねる音を鳴らして続くラリー。
「憂太!打ち漏らすんじゃねえぞ!」
「うん、いくよ!」
ポン、と真希が上げたボールを乙骨が一年のコートへとはたき落とすようにアタックしてきた。
『っと!……虎杖っ!』
「おうっ!任せとけハルカ!」
スライディングして砂に塗れながら打ち上げたボール。それをボールに近い虎杖が相手のコートへと打ち込みにいった。
ぴょん、と高く飛び、砂を撒きながら振り下ろす腕。
「おりゃっ!」
ザザッ、と狗巻が滑り込んで持ち上げるも低い高さ。他ふたりがそこに間に合う事が出来ず、近くまでは走り寄ったけれど。
ピー、とホイッスルを鳴らして得点がまた一年へと入る。