第18章 美術品のように愛でないで
「「弄ばれた~っ!」」
ビーチバレー!スイカ割り!レゲエ砂浜ビッグウエーブ!と交互に叫ぶふたりに狗巻が可哀想だという視線を送っている。さっきまで一緒になってはしゃいでいたけれど、去年もあったというのなら多分…海での任務が終われば残りの時間は遊べる!くらいにはしゃいでたんだろうなあ…。
その膝を着いた虎杖&野薔薇の隣にパンダが向かい、ふたりの間にしゃがんで肩に手をぽすっ!と乗せた。
「お前ら学習しろよ、ハルカの近くに居りゃいつも悟に振り回されてこんな感じになってる姿を見てるだろ……」
パンダの言うことももっとも。一番身を以て理解してる。
あれも、それも、あの時も…大体、デートだ!任務でした!買い物?任務でした!えっ遊園地っ!?任務でした!任務だろ?アッデートでしたか……っていう日々。
『……思い出したら数が多くて悲しくなってきたわ…今回についても驚かないや』
「えー?サプライズだよ?そこは驚いてなんぼだよ?その反応が次回のサプライズに響くんだからね?」
『そこは普通にしろ~?』
普通とは程遠い人間なんだろうけれど。にこにこしながら「やーだっ!」という悟。サプライズ人間にはサプライズを仕掛けりゃ良いのか?
……あとで時間あったら砂に埋めたろ。土偶と一緒に埋めてやろ。水かけながら整形してナイスバディーな悟にしたろ。
しょんぼりする生徒や呆れる私達を悟は見渡して、手でパンパン!と注目を集めてる。
「さて。お集まりの良い子のみんなー!気分を切り替えて下さーい!特に悠仁と野薔薇!任務が早く終われば早く遊べるよーっ!だらだらしてたら遊ぶこと無く高専に帰るというかなしい事になるよー!」
「それだけは嫌、やるわよ…っ!で、先生どういう任務なんです?」
立ち上がり、膝やスネに着いた砂をパパパ、と払った野薔薇。「切り替え早!」と呟きながら虎杖も立ち上がり、同じく砂を払ってる。
テンションの高い悟はまるで海に浮かれた中継先のアナウンサーの如く海を体全体で指し示した。
「はい!御覧ください!この見事なオーシャンビュー!地球の青さを感じるねー!
これより帳を降ろしたら海から砂浜へとたくさんの呪いが上陸してきます!呪いだって夏真っ盛り!ドラマティックが止まらないね~?そうしたらどうするか?そう、キミ達は呪術師……祓ってなんぼよ」