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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第18章 美術品のように愛でないで


158.

「先生ェー……暑い!」

森に囲まれた高専。周囲の蝉の鳴き声が全開の窓から大音量で聞こえる。ジーとかミーンミンだとか聞いただけで暑さが倍増するんだけれど。
虎杖は机に両手をだらん、と伸ばし、上半身を突っ伏してる。暑がるのは虎杖だけじゃない、私も含め皆暑さにやられていた。
上着を摘んでバサバサと風を送ってる悟。

「こらこら悠仁、先生はそんなに熱く…、熱く…。
熱くなれよぉ……もっと、もっとォ!熱くなれよぉーー!」

『やかましい!黙れ修造、室内をより温暖化させんな!』

渾身のネタを披露していたであろう、悟。余計に熱くしてどうすんだ……。
野薔薇の方向から「はぁーあ…」というため息が聴こえて、五条修造先生は凄い勢いでしなびていく。

「あっハイ…」

悟も暑かったのか一度爆発的なテンションを披露はしたけれど食い下がるのが早かった。
今日は木々に囲まれた高専内でも熱い日。暑さのピークは過ぎている(と思うんだけれど)から残暑。時折入ってくる窓からの風に会話が止まって皆が一斉に涼みだす、という事が朝からあった。天然の吹き込む風はボーナスタイム、目を細めて両手を広げる野薔薇も度々見かけた。
受け持つ授業ってのは基本無い悟。でも朝でも帰りでもないのに教室に居る。
それは昼食を終えてダラダラとしながら、そろそろ午後の体術の為に着替えるかー…でも動くの暑い!というだらけた教室内に悟がやって来た……というわけで。

うちわ代わりの下敷きを、ビョンビョン言わせながら額に着く前髪を私は指先で払う。

『……で、一体何をしにきたワケ?太陽の擬人化の真似をする為に来たワケじゃないでしょ?』

大事な話かな?それともいつものロクでもない話かな?暑い中でここに来た理由を推測したくないから、ここはネタを披露するだけでした!で良いよ、もう。
やけにドヤ顔の口元を見上げれば、腕を組んで肩を上下させて笑っている。
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