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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第17章 幸福に生まれ変われ


「はい、それを許可して頂けるというなら喜んで。呪いに対する守りは無くなりましたが一応、対処は出来ますし…。マリアについては時折、京都の呪術高専の医務室勤務をするという事ですので、ちょっとだけ高専関係者となりますね」

反転術式を使えずとも医療の知識は充分にあるマリア。多少なりともあの確実な技術は嬉しいものとなってる。私の腹部とかきっちり貫いてたしね、重要器官とか血管をずらして。
帰る前に祖母が居なくなった後のこの屋敷をどうするか。そこを話し合っておく。

『私がお婆ちゃんを降ろせば一応呪い避け出来るけれども居る間だけになるしねー…』

魂だけの状態でここにいる間であれば屋敷全体に有効なのかは知らないけれども、呪いの近付けない空間にする事が出来る…というのは証明済み。
周囲に民家などがなくとも、屋敷の敷地内にはたくさんの墓がある。領域内で集う魂であっても強い怨念を持ったままの死……、引き寄せられるものも居るんだろうって予測が出来る。

「ええ。ありがたいのですけれど、それはこちらに立ち寄った際で。もう、春日の血を引く術者はたったひとりしか居ませんから無理はさせたくないですね…」
「だって。ハルカ、すーぐ無理するからっ!」

『うっ…、』

言い返せないんだよね。まったくもってその通り過ぎて。言葉に詰まる私の頭に悟は手をぽすっ、と優しく乗せた。

「結構任務であちこち飛び回るからねー、近くに来たら立ち寄るよ。僕もハルカには無理させたくないしね。
じゃあここは頼んだよ」

はい、と返事をした龍太郎。
無理をさせたくない、と言われてなんとも言えない気持ち。何か役立てたいというのに、それらが私が無理をする原因になったりする。
どうすれば良いんだろうって。今はただ、悟の側に居れば幸せではあるのだけれど何か行動に移したい気持ちがある。

……心配されるのはそれほどまでに大切にしてくれてるんだという証拠。
けれど…けれども。ガラス細工みたいに丁寧に扱われるのは嫌。そう考えていて、最近の悟に気が付いたとある事があった。
にこにこしながら、龍太郎に手を振って呼んだタクシーに「先に乗って!」と優先してくれる彼。ふっ、と笑って『ありがと』とお礼をして……。

でも…。深くは考えない方が良いのかも。ただ甘えているだけだと思いたいな、と今はその気が付いた事に蓋をしておいた。
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