第17章 幸福に生まれ変われ
…だからそういうのだよ、黙らんかい。
言葉に出さずに一度泳ぐ視線。それを悟に戻した。
うん、なんていうか。
『やらかして謝罪会見するんですか?って感じにも受け取れるねー。なんか、自粛中かな~って。いつかやると思ってたんですよー、的な?』
その場合、身近な私が音声を変えられて、顔を映さないように配慮されるインタビュー受ける側なんだけれど。
ちょっと笑顔が崩れ、苦笑いした悟。目は細められ笑ってるように見えるけれども薄目でこっちを見てる、あっそれ怖いかも。
「おやおや~?オマエ、今すぐに孕みたいの?ん?婆さんの願い通りに子孫繁栄、今すぐにするか?」
…やっべ。ばしっ、と勢いよく片腕で引き寄せられた体。床に荷物をボト、と落とし両手を上げて降参の意志を示した。今したら時間が間に合わなくなる、一回じゃ済まない人だし!
『ほら、今から京都に向かうんだし?そんな時間は無いでしょ?』
…そうとは言っても最近の悟の様子がややおかしく、ここの所セックスをしていないから例え短い交渉でも良いんだけれど。
あのヤリたがりの悟が。5日間もしてないし、誘って来ない。こういうふざけたやりとりはするけれど…。そこんところどうなんだろう?
だからこそ、ちょっと軽めなえっちなら、良いかも…?と思う自分も居たりする。今は時間がないから無理でも、夜とかにあっさりとかさ。悟ほど主張しないだけであって充分にしたいんだし。なによりも愛されてるって一番の実感が出来る行為だから。
普段よりもスーツ効果か、いつもよりも色っぽい笑みを浮かべた悟。かぶりつく様にキスをした。
『…んっ、』
執拗に舌で攻める事なく軽めであったけれど。
キスする前と同じく笑みを浮かべてる悟。いつもと少し違うシチュエーションにどきどきする…。
「今は時間ないからご遠慮だけど、京都でイチャイチャしちゃおっかな~?」
『……静かであることと、五条家の使いの方々が居ることやみたらい一家も向かってるって事を忘れずに』